フミとルビの存在について考えてみた。
ほとんどメモという感じの文章です。ネタバレ注意。
◆フミとルビの正体について
ルビの「キツネはこんな所で死ぬ予定じゃないもん」という台詞や
フミの「思ったより早く時間が進んでるね」という台詞などから、
フミとルビはアミと同様に未来予見ができる「知覚」である、と考えられる。
ただし、作られた知覚であるため、知覚としての有用性はアミに劣る、
また感覚球との親和性が無いためいずれ死ぬか異形になる、
あるいはその力を上級天使の意図した通りに使わないといった理由で、
「失敗作」と呼ばれ翼を与えられていない。マルクト教団の中ではイレギュラーな存在。
(しかしフミが持っている“神を助ける力”は本物であり、階級はその才能のみで決まるので、一応高い地位にいる事ができている?)
◆フミとルビの関係について
フミとルビは“夢と理性をふたりでひとつしか持っていない”、つまりバロックと意識を共有している。
フミの字は「文」である。とすれば恐らくルビは「ふりがなのルビ」という意味だろう。
とすると、主体なのはフミのほうであって、ルビはフミの意識を分け与えられている、という事がなんとなく想像できる。
・キツネがフミの渡したディスクを聴かなかったので、仕方なくルビが来た
・ルビはフミの指示に従って動いている(ミラルカの事をフミに質問した場面でのフミの台詞から)
・フミが「偉い天使」である一方で、ルビは階級を持たない(IDが消去されていないのでマルクトの信者ですらない?)
・異形に襲われた時・マルクトの試練を受けた時、ルビは「自分は殺されても良い」というような事を言っている
・タランテラのメロディを聞いて死ぬのはルビだけである
キツネの「わたしはもうタランテラのメロディを聞いてしまった。わたしの語るべきバロックは終わった」という台詞は、つまり踊る病気=バロックである事を指しているのではないかと思う。
タランテラのメロディには聞いた者を踊る病気(=バロック)にするが、もう一度聞けばその踊る病気(=バロック)から醒める効果があり、
そのメロディを聞いてルビが死んでしまうと言う事は、
ルビは誰かの「バロック」そのものか、それに限りなく近い存在である。
では誰のバロックなのか?
元はフミのバロックであり、キツネと出会ってからはキツネのバロックでもある。
◆フミ、ルビの本当の意図(マルクトに与えられた使命ではなく)について
→キツネを使ってマルクトを“本来あるべき姿”に戻すつもりだった。しかし失敗に終わった。
フミとルビは、
バロック屋であるキツネをタランテラのメロディで洗脳して信者にする、
(あるいは試練という名目で“消す”)為に、マルクト教団がよこした使者
だった訳だが、実態は違うかもしれない。
上級天使がキツネが選ばれた事に対して懐疑的な所、
コリエルのリーダーである翼の青年の「さぁ?僕と同じで誤差の範囲内ではないでしょうか」という台詞、
フミもルビも上級天使に協力的ではない所から、
「そもそもキツネはマルクト教団(上級天使派)によって選ばれたのではなく、反上級派であるコリエルやフミに選ばれるよう仕向けられた(=本来選ばれるべき人間ではなかった)のではないか?」とも考えられる。
フミルビについて残った疑問↓
・ルビが毒グモの毒で死なないのはなぜか
・ルビの声で地震が止まるのはなぜか
・フミが「ミラルカ」という名前を聞いて錯乱するのはなぜか
・フミのバロックとは何か、「世界を救うための炎」とは何か、「世界に放火してしまった」とは何の事か